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蛍光体による流れの可視化研究推奨。木村雄吉神戸大名誉教授のパワハラ告発。

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〒669-1544 兵庫県三田市武庫が丘6−19−2

第3編 パワハラの防止


目 次

第3編 パワハラの防止 

1章 パワハラ・アカハラの列挙 

1 卒業・進級妨害 

2 選択権の侵害 

3  指導義務の放棄、指導上の差別 

4  その他 

2章 大学はなぜ教授による不正が起こりやすいのか 

1 多くの権力が教授に集中 

2 証拠書類が集めにくい              

3 裁判を起こしにくい 

4 学生と教授間の情報格差が年々広がる 

3章 不正の防止策 

1 大学への要望 

2 それでも大学に自己浄化能力はあまり期待できない 

4章 学生がパワハラ・アカハラを受けたときの救済手順 

 

あとがき 



        本 文

第3編 パワハラの防止

 

木村教授に受けた指導(?)は、パワハラ・アカハラ満載で、防止策を検討するうえでの絶好の資料である。「第1編 研究の経緯」に記載した事項と、NPO法人 NAAHのホームページから引用したパワハラ・アカハラ例とを照合して、木村教授がどのような問題言動を行ったのかを検証する。次に、アカハラ・パワハラ防止のための対策を提案する。

 

1章 パワハラ・アカハラの列挙

神戸大「ハラスメントの防止等に関する規程(平成29年3月21日)」には、次のように記載されている。
 アカデミック・ハラスメント 
 職員又は学生等が他の職員又は学生等に,優位な立場や権限を利用し又は逸脱して,その指示,指導等を受ける者の向学意欲,労働意欲及び教育研究環境等を著しく阻害又は悪化させる結果となる不適切な言動等を行うことをいう。
 パワー・ハラスメント 
 職員又は学生等が他の職員又は学生等に,自らの地位若しくは権限又は事実上の上下関係を不当に利用して,その指示,指導等を受ける者の向学意欲,労働意欲及び教育研究環境等を阻害又は悪化させる結果となる不適切な言動等を行うことをいう。
 その他のハラスメント 
 職員又は学生等が他の職員又は学生等に,飲酒の強要,誹謗,中傷,風評の流布等により人権を侵害して,向学意欲,労働意欲及び教育研究環境等を阻害又は悪化させる結果となる不適切な言動等を行うことをいう。


 これを読んでも、抽象的で具体例がないのでわかりにくい。そこで、この規程に具体例へのリンクが張ってあるかと調べるが、ない。「ハラスメントの防止」を装いながら、本当は学生からの苦情を、はなから聞くつもりがないのか、と勘繰ってしまう。
(注:2018年11月19日現在、神戸大ホームページを見ると以前に比べて、各段にわかり易くなっている)
 そこでインターネットで探して、具体例を示して分り易かったのは、NAAHホームページである。これなら、法律に疎い工学部学生でも理解できる。弱者を救済しようという意気込みが感じられる。以下、NAAHホームページから必要な項目を抜粋して述べる。(分類不能のため、一部重複がある。@AB…は本書第1編に記載した事例からの引用である)


1 卒業・進級妨害(学生の進級・卒業・修了を正当な理由無く認めないこと。正当な理由無く単位を与えないこと。卒業・修了の判定基準を恣意的に変更して留年させること)
 @教授から、博士号を取るのに通常は2本でよいのに、「学会に論文を5本出せ」と言われた。さらに、「博士課程が国から認可後に博士号審査する」と言われ、ただちに他大学でされるべき博士号審査を伸ばされた。


2 選択権の侵害(就職・進学の妨害など。本人の希望に反する学習・研究計画や研究テーマを押しつけること)
 A教授から、いきなりガンタンネルで電子線を使って高速気流を可視化するという過大な研究方針を要求された。
 B教授から、約束の紫外線レーザーの購入なしに、何度も失敗した気流の可視化を強要された。
 C教授から、健康被害の恐れがある気流の可視化実験を強要された。

 D教授から、「博士論文を先に書いておいて退学した後、神戸大に博士課程ができたら審査して博士号を授与する」と言われた。……他大学で博士号を取らせない。
 E(蛍光体による流れの可視化法の研究成果は、修士在学中の)成績がどうこう言うレベルの研究ではないにもかかわらず、教授から、「修士在学中の成績が悪い(から、他大学の博士課程へは行かれない」)と言われた。

 
3 指導義務の放棄、指導上の差別(指導下にある学生・部下を差別的に扱うこと)
 F修論・卒論作成で最も重要な2月は学校に出てこない。G「流体力学の理論がしたい」学生を受け入れておきながら、指導能力がなかった。
 H私たちの流れの可視化研究グループだけに、過酷な研究成果を要求した。


4 その他(NAAHホームページに記載のない項目)
 ・ 研究成果が出ないと学生に責任を転嫁する
I教授が気流の可視化に失敗した責任を、学生に転嫁した。
J教授が気流の可視化に失敗した責任を、卒業した学生に転嫁し、流布した。


 ・ 学生への約束を守らない
K紫外線レーザーを買うと約束しながら、買わない。
L論文発表のための交通費を片道分払うと言っておきながら、払わない。

  

 ・ 税金の無駄遣い
M産業界が渇望しているほどの成果を上げながら、社会に還元しないで放置する。
N支離滅裂な指導で、学生のやる気を喪失させる。教育機関としての役割を果たしていない。

 ・ 公務員職権濫用罪(アカハラとは違うのだが)
O教授は、企業に対し、私を会社員のまま神戸大に派遣して、研究を続けられるように、交渉した。これが実現していれば、公務員職権濫用罪(刑法193条。公務員がその職権(本件の場合、企業に対する大学の人材供給源・学術情報供給源としての有利な立場)を濫用して、人に義務のないことを行わせる行為を内容とする)が成立する。

 


2章 大学はなぜ教授による不正が起こりやすいのか 

 

理由は4つある。
1 多くの権力が教授に集中
 教授は自由に(独断で)、指導・教育内容を決めたり、研究内容・研究予算配分を決めたり、就職先・進学先への推薦ができる。このように多くの権力が教授に集中している。学生や部下への報復が容易にできる。
 したがって、教授に不利な発言をする証人が集めにくい。結果、裁判では教授が有利になる。


2 証拠書類が集めにくい
 公文書として記載・保管義務のある書類が少なく、証拠書類が集めにくく、口約束が多い。このため訴えても「言った、言わない」で終わってしまい、勝てない。


3 学生と教授間の情報格差が年々広がる
 学生・教授間で保有情報が対等ではなく、「情報の優位者」である教授が「情報劣位者」である学生を容易にだませ、言いくるめることができること。さらに、教授は年々ダマシの技術を向上できる。反対に、学生には卒業があるので、先輩の経験が後輩に伝わりにくい。言い換えると、学生が卒業で入れ替わるごとに、教授への警戒心が初期化されてしまう。このように学生と教授間の情報格差が年々広がる。

4 卒業後、裁判を起こしにくい
 大学は、企業に対して、人材供給源・学術情報供給源としての有利な立場にある。このため、被害学生は卒業しても、出身大学を相手に裁判を起こしにくい。また、裁判を起こすような社員を企業は敬遠する。「明日は我が身」だとして・・・。裁判に名乗り出ることで、2次被害を受ける。
 もう一つは、企業に就職した新入社員時は、仕事を覚えるのに忙しく、また経済的余裕がない。時間を取られ、費用も掛かる訴訟はとても起こせるものではない。
 大学側も、訴訟専門の研究者がいるくらいだから、これらのことはよく分っている。「のらりくらりと引き伸ばしておれば、そのうち諦めるだろう」と考えているのだろう。そうこうしているうちに時効を迎えてしまう。
 
 以上のような理由で、被害学生は、泣き寝入りするしかない。

追記
 同様の指摘が、2018年8月2日付け読売新聞朝刊で「女子受験者を一律減点 東京医大、恣意的操作」というスクープを放った事件でも言われている。本来なら合格していたはずの女子受験生が、裁判の原告となって医大を訴えることを躊躇する。結果として医大側が問題の責任をうやむやにするおそれがあると、弁護士が困り果てている記事が、朝日新聞に載っていた。
 

 

3章 不正の防止策

 

1 大学への要望重要事項説明制度を設ける

 @会社を退職して、研究生として、神戸大で研究を続行することになった。この時の条件として、博士号が取れること、紫外線レーザーを買うことの2点を、繰り返し念を押した。しかし、いつのまにか紫外線レーザーの購入は反古にされた。

A博士号を取るのに論文5本も必要ないにもかかわらず、「学会に論文を5本出せ」と要求された。

 B「博士論文を先に書いておいて退学した後、神戸大に博士課程ができたら審査して博士号を授与する」と言われた。

C教授から、健康被害の恐れがある気流の可視化実験を強要された。

D教授は、企業に対し、私を会社員のまま神戸大に派遣して、研究を続けられるように、交渉した。これが実現していれば、公務員職権濫用罪(刑法193条。公務員がその職権(本件の場合、企業に対する大学の人材供給源・学術情報供給源としての有利な立場)を濫用して、人に義務のないことを行わせる行為を内容とする)が成立する。



 このような、研究上重要な装置の購入、博士号に必要な論文数、博士論文の提出先、会社との取引、健康被害の恐れがある実験などの重要事項は、宅地建物取引業による重要事項説明と同様の制度を作り、文書化を義務付ける。文書化を怠った場合は、学生の発言を優位に扱う。

 口約束では学生側にあまりに不利である。いつまた条件が変わるのかと不安で研究に集中できない。また、成果を上げれば上げるほど、学生を手元に置こうとして、目標を釣り上げられる。


2 優秀な研究者を育てた指導者を評価する
 後年、研究成果を上げた者に自身の成長に貢献した指導者を指名させ、指導成果として評価する。研究業績と同等に学生の指導業績を扱う。



記録機器持込み制度を設ける
 例えば、会話の録音は、裁判での証拠として採用される。したがって学生に会話を自由に記録できる権利を保障する。
 前述の重要事項説明制度には該当しなくても、その他の研究上重要な事項がある。言い換えると、重要事項説明制度の抜け道を防ぐため、会話を証拠として残せる権利を保障する。「保障」だから、教授を含め他のものが記録をやめさせることはできない。厳しい罰則を設ける。


4 それでも大学に自己浄化能力はあまり期待できない
 例えば、私の住む兵庫県三田市には監査委員制度があり、監査委員には市会議員と民間の公認会計士が務めている。行政の違法行為・無駄使いを監査している。
 しかし、実効が上がっていなかった。行政側の監査委員制度では、どうしても身内職員や議員に厳しくできない。厳しくすると今後、監査委員を辞任したとき、職員や議員から協力が得られなくなるからだ。
 そこで、住民が「市民オンブズ三田」組織を作って自主的に監査を行った。違法な支出が分かったときには、住民訴訟を起こした。
 この結果、外部に市民オンブズ三田があると、「あんまり身内に甘いと、市民オンブズ三田に訴訟を起こされる。これで負けると、三田市の監査委員制度は身内に甘いと批判される。厳しいかもしれないが、ここはこれでなんとか我慢してほしい」ということになる。
 これと同様に大学でも、4年で卒業する学生より、はるかに長く付き合いが続く同僚によく思われたいのは、人情と言うものだ。
 大学の自己浄化能力を高めるには、どうしても外部の監視組織の存在が必要だ。これがないと身内に甘い対応となる。

 

4章 学生がパワハラ・アカハラを受けたときの救済手順

 

@ まず、パワハラ・アカハラをなくすNPOに相談する。証拠固めを指示されるはずだ。先に大学に相談すると、教授に先回りされて証拠隠滅される恐れがある。

A 訴訟よりは、大学内での解決が楽なので大学にまかす。ただし、「弁護士のいる外部の組織にも、救済を求めている」と伝えておく。前述のように、この一言が、大学に緊張感を与え、自己浄化能力を高めることになる。

  

あとがき

 

「神戸大 『志』入試 導入へ」(2017、2、2朝日)との見出しで、新聞が、センター試験を受ける必要のない「新しい方法の採用で、これまでにない特徴を持った学生を選択したい」と報じている。どこの大学でも、優秀な学生を、かき集めることに熱心だ。
 その一方で、優秀な学生を取り込んで「お前らは正規の試験で入学してはいない。だから、博士号には論文が5本必要だ」と、屁理屈をこねる教授が虎視眈々と待ち構えているかもしれない。

 インターネットで調べると、大学側のアカハラ防止対策に不満の声が多くある。研究者の夢を断念させられたり、失望の余り自殺している。大学側の対策は不十分ではないのか。
 小・中・高でどんなに教育改革をやったところで、最終仕上げの大学で、本書で述べたようなアカハラが行われては、すべて無駄になってしまう。アカハラ対策は、「『志』入試 導入」よりも最優先の教育改革項目だ。 

機械業界から学習塾業界に入って、35年になる。塾生には「勉強すれば将来いいことがある」といって、勉強を教えてきた。これはどこの塾でも、どこの学校でも同じだろう。塾生に「勉強すれば将来いいことがある」と言う以上、アカハラがなく、研究に集中できるような大学にする責任が、アカハラで研究者への夢を断念させられた私にこそあると気づいた。この責任を、少しでも果たしたいと思う。 
 当初は、悔しいけれど「泣き寝入り」して、教授から受けたアカハラを忘れてしまおうと努めた。しかし、これまでの自分の生き方に反する。自分らしくない。権力の不正と戦うことにした。
 今後の予定としては、
@アカハラ防止に関心のある方々と連絡を取る。
Aアカハラ防止法案の立法化に向けて、与野党議員を動かす。
 例えば、企業においては、使用者が労働者に対して著しく強い立場にあり、労働者保護のために「労働基準法」が制定されている。これと同様に、研究室において、教授は学生に対して著しく強い立場にある。学生保護のために「アカハラ防止法案」(仮称)を作るしかないと考えている。


 優秀な学生が教授の餌食にされる現状は、国民はもとより、与野党とも放置できないはずだ。今度の国政選挙では、知人の候補者を応援している。
 大学関係者は、政治家に言われる前に、自ら法案を提起した方がいい。政治家に弱みを握られると、大学自治がさらに後退してしまうぞ。 
 本書の読者の皆さんに、ご署名をお願いすることがあるかもしれません。その時はよろしく。


 追記。 2018年11月16日朝日新聞朝刊に、「パワハラ防止 法制化 厚生省方針 企業の義務明記」という記事が掲載された。企業の次は大学の番だと期待している。



 















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